フランスのマジック・フェスティバル「マンドレイク・ドール(金のマンドレイク賞)」のタイトルを冠した小型シートの第2弾(2008年・アフリカの旧フランス領-ギニア共和国発行)。 マジックとイリュージョンにちなんだ切手6枚が連刷されています。
小型シート
左上の切手は、「近代奇術の父」と謳われるフランス人-ロベール・ウーダン(1805-1871)の肖像(左)です。右は1900年代の中頃、アメリカとフランスで人気のあったコミック「マジシャンのマンドレイク(魔術と催眠術の力で悪と戦うマジシャン)」で、映画化もされています(コロンビア映画・1939年)。
左上切手(ウーダン)の拡大
上段中央の切手は、「映画の魔術師」といわれたフランス人・メリエス(1861-1938)の顔と、彼が制作したSF映画の中で最も有名な「月世界旅行」(1902年)の一場面です。枯れ木が立ち並ぶようなトゲトゲの荒涼とした月の風景が描かれています。当初「月世界旅行」はモノクロでしたが、フィルムの1コマ1コマを手作業で彩色したカラー版も上映されました。その後、彩色(カラー)版は失われましたが、2001年にスペインで発見されました。劣化の著しいフィルムがデジタル技術を駆使して修復され、100年あまり経った2010年に復元されたのです。
上段中央切手(メリエス)の拡大
カラー版「月世界旅行」
上段右は脱出王「フーディーニ」の切手です。手かせ足かせで縛られたフーディーニ(1874-1926)の姿(1899年の宣伝写真)と、彼がニューヨークで演じた象(アジア象-愛称・ジェニー)の消失(1918年)の場面が図柄になっています。
上段右切手(フーディーニ)の拡大
下段左はフランスで非常に人気のあった二人のマジシャンのGarcimoreとGerald Majaxです。いずれもフランスのテレビでマジックの番組を持っていました。Majaxは2009年にマンドレイク名誉賞を受賞しています。
下段左切手(マジャックス)の拡大
下段中央は、言わずと知れたデビッド・カッパーフィールドです。描かれているのは、回転する巨大な電気丸のこから脱出する場面です。
下段中央切手(カッパーフィールド)の拡大
そして右下の切手は、イリュージョニストからスタートして、後に有名な音楽プロデューサーになったフランス人Christian Fechnerの肖像と、話題作「プレステージ」(アメリカ2006)の映画における舞台のワンシーンです。過去の因縁によって互いに競い合う2人のマジシャンを描くサスペンス映画で、衝撃のラストが待っています。なお、映画の中のマジックの部分は、リーキー・ジェイとマイケル・ウェーバーがアドバイザーを担当、リッキー・ジェイは俳優としてもMilton役で出演しています。
右下切手(プレステージ)の拡大
「プレステージ」のDVDカバー
シートの左上から下に、マンドレイク名誉賞を受賞したフランス人マジシャンGerald Majax、映画「イリュージョニスト」の主役を演じたEdward Norton、映画「プレステージ」でマジシャンのボーデン役を演じたChristian Bale、右下が同映画でマジシャン-アンジャー役のHugh Jackman、右上がデビッド・カッパーフィールドのアシスタントで婚約者だったClaudia Schifferの顔が並んでいます。
(注)植物のマンドレイク(Mandrake)は、根に神経毒が含まれており、服用すると幻覚、幻聴、嘔吐にみまわれる。根茎が幾枝にも分かれ、人の形に似たものもある。このため中世のヨーロッパでは、魔法薬として魔術や錬金術の原料としても使われた。映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002年)でも、魔法学校の授業でマンドレイクが登場、石になった人を元に戻したり、引き抜くと悲鳴を上げて、まともに聞いた人間は発狂して死んでしまう魔法の植物として紹介されている。
ハリー・ポッターに出てくるマンドレイクの切手
(拡大・2003年ベニン共和国)