土屋理義

マジックの切手
第27回

マンドレイク・ドール賞(その1)


 フランスのマジック・フェスティバル「マンドレイク・ドール(金のマンドレイク賞)」(注1、注2)のタイトルを冠した小型シート(2008年・旧フランス領ギニア共和国発行)。  シート上部にはフランス語でマジック・イリュージョンの分野で優れた活躍をしたマジシャン(イリュージョニスト)に贈られるマンドレイク・ドール賞が、1990年にフランスで創設されたことと、複数の受賞者の名前が書かれています。


小型シート


 シートの左側には、2000年にマンドレイク・ドール名誉賞を受賞した世界的なイリュージョニストのデビッド・カッパーフィールドが、彼のショーにも出演し1999年までの5年間、彼と婚約していたドイツ人女優のクラウディア・シファーと共に描かれています。


切手部分の拡大


 切手は、この賞にふさわしいタイトルの映画「イリュージョニスト(邦題・幻影師アイゼンハイム)」(注3)の主役、アイゼンハイムを演じたエドワード・ノートンの顔(右)と、マジックと詩、パントマイムとユーモアを交えた演技でこの賞を受賞したスペイン人のカルロス・ヴァケラの顔(左)です。


「イリュージョニスト」のDVDカバー


 (注1)マンドレイク・ドール賞は、1990年にフランス人Jilles Arthurにより創設され、“French Academy of Illusionists”という組織により運営されて今日まで続いている。同賞は、マジック界のオスカー賞(写真)といわれ、毎年受賞者を選考、受賞者はフランス各地で行われるフェスティバルに招待され、その模様はフランスを含む各国のテレビで紹介されている。受賞は「名誉賞(随時)」と「金賞(毎年5~6名)」からなり、「名誉賞」には、カッパーフィールド(2000年、2019年の2回受賞)や、ジークフリード&ロイ(2001年)、ペン&テラー(2018年)等が受賞、「金賞」にはノーム・ニールセン、ホアン・タマリッツ、マルコ・テンペスト、ビクター・ボイトコ等の有名マジシャンが名を連ねている。日本人マジシャンでは下田結花(1991年)と峯村健二(2007年)が金賞を受賞している。


マンドレイク・ドール賞のトロフィー(マジシャン像)


(注2)マンドレイク(Mandrake)とは、ナス科の植物で根に毒分が含まれており、中世のヨーロッパでは薬草として用いられたが、魔法薬として魔術や錬金術の原料としても使われた。

(注3)家具職人の息子と侯爵令嬢ソフィとのかなわぬ初恋、成人して有名なイリュージョニストになったアイゼンハイムとソフィとの再会とロマンス、問題人物オーストリア皇太子の求愛とソフィの突然の死、アイゼンハイムを追う警部とマジックの秘密、そして思いもよらぬ結末・・・興行収入40百万ドルを挙げた話題作。映画の中で演じられたマジックのテクニカル・アドバイザーは、有名なリッキー・ジェイとマイケル・ウェーバーでした(アメリカ・2006年度作品)。

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