松山光伸さんに新たに2つのシリーズをお願いすることにしました。「マジック史の新発見」と「先人や先例に学ぶ」です。連載に先立ち、どういうイメージになるのか伺ってみました。
Q.(東京マジック)
2つのシリーズをお願いすることにした経緯をあらためて紹介しておきたいのですが。
A.(松山)
実は、ここ5年ほどマジックの歴史を集中的に追っかけていますが、いままで閉ざされていて知られてなかった重要なことが次々と明らかになってきました。それが東京堂出版の季刊「ザ・マジック」誌の中で「実証・マジック開国史」を連載させていただくことになった発端でした。
Q.
手ごたえは如何でしたか。
A.
奇術界の方だけでなく広く演劇史に携わっておられる方も含め多くの評価をいただきました。また海外からも要請があって専門誌に連載するに至っていることに私自身驚いています。
Q.
それでも何か物足りない部分があったように伺いました。
A.
実は、文章になって紹介できたのは判ったことの一部です。すべて細かく書こうとすると冗長になるだけですし当然のことながら紙面には制約があります。また書き終わってから追加で判ってきたこともいろいろあります。
Q.
それを補うのが「マジック史の新発見」ですね。
A.
まあそういうことですが、明治以降に限らず断片的な史実をエピソード的に紹介できればと思っています。できるだけ一次資料をベースに解きおこしたいと
思っていますがどうなることか。
Q.
「先人や先例に学ぶ」というのは、どういうイメージなのでしょうか。
A.
むりやり付けた仮題なのですが、歴史を調べていくと今も昔も同じことを繰り返していることに気付かされることがよくあります。例えば、似たようなトリックを考えようとしていたり、同じ論争が何度も繰り返されていたりということです。昔、「歴史をもっと勉強しなさい」と言われていた大先輩がいましたが、それは効率よく研究したり、同じ轍(テツ)を踏む愚を避けたりするには重要だという意味です。
Q.
相当に事情通でないと書けませんね。
A.
そうなんです。ですから誰も書けませんし、私もそれほど事情通ではありませんから全く自信がありません。また、主観的な部分が多くなりがちな領域なので同じ材料を別の人が解釈すると全く違う結論がでてもおかしくありません。でもこういう視点での論考やエッセイが海外の奇術専門誌には多いのです。それだけ彼我の差は大きいと思います。
Q.
日本の雑誌でも、ニュースや動向情報が段々増えてきましたが、どうしても手品の解説が中心でないと売りにくいという認識がありますよね。
A.
一部のウェブやブログでは、高い問題意識でのコメントを見受けることが多くなりました。これは大変素晴らしいことです。私も思いついたことから書いてみようと思ったわけですが、数回で途絶えてしまうかも知れず結構不安があります。
Q.
いえ、唯我独尊で結構ですから、どんどん書いてください。よろしくお願いします。
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