次の解説は、エドワードマーローの“リング オン スティック”の中で使われているダイバーノンのテクニックです。
そしてこれは、リング オン ザ ウォンドの基本とされているもので、非常に重要で、しかも参考になるテクニックです。
原文はトリック形式になっていますが、ここでは、それに私の考えも加えて説明しています。
準備
テーブルにウォンドを置いておきます。
リング(指輪)は客から借ります。
ルーティーン
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客から借りた指輪を右手の平のクラシックパームの位置において示します。
右手を左手の上に持ってきて、指輪を左手に移したふりをします。
左手は、すぐに、あたかも指輪を受け取ったかのように握りこぶしにします。
右手は指輪をクラシックパームにしたまま左手から離して、右手の人差し指で、握った左拳の指の部分を一度、軽く叩きます。
そして、右手はすぐにテーブルに置いてあるウォンドの右端約6.7cmの部分を、右手の親指、人差し指、中指で握って持ち上げます。
すると、ウォンドの右端の最先端が<写真1>のように指輪の一部分に触れて、しかも少しだけ指輪の中に入ります。
写真1
写真はウォンドと指輪の位置をハッキリさせるために、
故意に手の平を見せていますが、
実際は手の平は下向きです。
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次に、右手の人差し指でウォンドを押さえると<写真2>のように、
指輪はすぐにぐるりと回転してウォンドにはまります。
写真2
もし、ウォンドをテーブルにではなく、パフォーマーの左脇の下に挟んでおくと、
指輪をパームした右手が脇の下のウォンドを取りに行った時に、
もっと簡単に指輪をウォンドにはめられます。
また、ウォンドによっては、テーブルからウォンドを持ち上げた時に、人差し指でウォンドを押さえなくても、
ウォンドの重みで自然に指輪がはまります。ウォンドの左先端を左拳に付けて、左拳を指し示します。
そして、右手は隠した指輪と共にウォンドの中央までスライドさせて、そこでウォンドを握ります。
この指し示す動作と指輪をスライドする動作は、一つの動作として行います。
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右手を客の方へ出して、ウォンドの両端を持つように言います。
勿論、パフォーマーはウォンドの中央を指輪と共に握っています。
パフォーマーは客がウォンドの両端を握ったら、左手を右手の下へ持ってきて、
両手の指を伸ばしてウォンドと指輪を挟んで手の平を合わせます。
そして、左右の手の平を擦り合わせて、指輪とウォンドがぶつかる音を出します。
ゆっくりと両手を引き離して、ウォンドにはまった指輪を示し、客にトリックを繰り返すことを言います。
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方法1の1で行ったように、右手の平の指輪を示して、左手に移す動作をします。
しかし今度は、実際に指輪を左手に移してしまいます。
右手は前と同じようにウォンドを取り上げて、その左端を左拳に付けます。
そして、ここで客が怪しむように、わざと不器用な動作で右手をウォンドの中央へスライドさせて握ります。
右手を前に出して客にウォンドの両端を持ってもらいます。
この時に客は、恐らく「指輪はもうウォンドにはまっているんでしょう?」と話すか、または、怪しい顔をするでしょう。
パフォーマーはそんな事には構わず、左手を右手の下へ持ってきて、指輪をウォンドにはめるような動作を行います。
この時に両手は拳のままにしておきます。
しかし実際は、指輪を客に分からないように右手のサムパームの位置に入れてしまいます。この時では、客は指輪はすでにウォンドへはまっていると思う事でしょう。
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左手はまだ指輪が左手の中に入っているというフリをしながら、握り拳のまま右手から引き離します。右手はウォンドを握り続けています。
客は指輪が前もってウォンドにはまっていると思っているので、パフォーマーは右手の指をゆっくりと伸ばして、しかし、指輪はサムパームして<写真3・4・5>、ウォンドから右手を離します。
写真3
写真4
写真5
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次に、右手は客からウォンドを取る時に、指輪をフィンガーパームまたはクラシックパームに移し変えます。
右手はウォンドで左拳を指し示しながら「指輪は私の左手にあります」と言います。
この指し示す動作で、ウォンドを左拳に当てながら、右手は指輪と共にウォンドの中央へスライドさせます。
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ウォンドの両端を客に持ってもらいます。
左手を右手の下へ持ってゆき、両手の平を合わせて擦り、ドラマチックにウォンドにはまった指輪を示します。
『Louis Tannen:Stars Of Magic』:
"The Ring On The Wand" by Dai Vernon P.86~87.
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Photo: study by CodyR