“リング オン スティック”や“リング アンド ロープ”と言われるルーティーンはバーノン、チャーリーミラー、マリーニ等有名なマジシャンが好んで演じています。
次のマーローの作品も彼らの方法を参考にしつつもマーロースタイルの巧妙なルーティーンに仕上げています。
準備
直径約1cm、長さ約23cm(手の長さにより異なります)の木製又はプラスチック製ウォンド。
宝石付きの指輪(同形、同色)2個。
指輪の石はダイヤモンドが最適。
ウォンドを上着の左袖の中に入れて、そのウォンドの右端を腕時計のバンドの下に通して、右最端が左手の平の中央にくるようにセットします<写真1>。
写真1
すると、左手の指は広げる事ができます。指輪1個を上着の左ポケットへ入れておきます。
もう1個は、テーブルへ置いておきます。
ルーティーン
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右手はテーブルの指輪を示しながら、「ほとんどの宝石には、少しだけ不純物のガラスが含まれています。そこで私がこのダイヤモンドから、そのガラスを取り除きましょう」と言って、右手の親指と人差し指と中指で、指輪のリングを持ち、石の部分を下に向けて取り上げます。
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そして、その指輪を上に向けたカップ状の左手の平の上方に持ってきて、まるで不純物のガラスを取り除くかのように、その指輪を数回、上下に振ります<写真2・3>。
写真2
写真3
左手は見えない不純物を受け取ったかのように、握りこぶしにします。
この時に左手のウォンドが客に見えないように注意します。
右手は指輪をテーブルへ置きます。パフォーマーは左手を見ないで右手を目で追います。
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次に客を見て「皆さんは、私がガラスを取り除いた事を信じないでしょう。
そこでお見せしましょう。」
と言って、右手の指をカップ状の左手こぶしの中へ入れて、ウォンドの端を握って、こぶしから引き出します<写真4>。
それをテーブルの指輪の横へ軽くポンと落として客に調べてもらいます。
写真4
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左手でテーブルから指輪を取り上げて、右手のクラシックパームの位置に置きます。
パフォーマーは、右手の指輪をじっと見つめて「不純物は取り除きました。残りは全て純粋なダイヤモンドです。」と言って、右手の平の筋肉を少し引き締めて、指輪がスリップしないで、そこに止まるかどうか、つまり、クラシックパームが出来るかどうかをチェックします。
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次に、指輪を左手に入れたかのように見せて、右手にクラシックパームします。
左手は指輪を持っているかのように握りこぶしにします。
右手は指輪をパームしたままウォンドに近付けて、その右端を持ち上げます。
すると、ウォンドの一番右端がほとんど指輪の中に入ります。
つまり、右手の親指と人差し指と中指でウォンドの右端から、約6cmの部分を握ると、ウォンドの右端がパームしている指輪を簡単に突き通す事ができます<写真5>。
写真5
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勿論、パフォーマーはウォンドを握ったら、右手を見てはいけません。
ウォンドの端が指輪の中央に入ったのを感じたら、そのウォンドで左手こぶしを指し示して、客を見ながら「ところで、これから指輪を消そうと思ったのですが、時々、私も一緒に消えることがあります。それはマズイので、指輪を消さないで違ったことをやってみましょう。それでは、ウォンドの両端をしっかり持って下さい」
と言いながら、ウォンドの左端をパフォーマーの左手の前腕に押し付けます<写真6>。
写真6
そして、右手を指輪と一緒にウォンドの中央まで滑らせていきます。
指輪はウォンドにはまっています。
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そして、右手を客の方へ伸ばしてウォンドの両端をしっかりと持ってもらいます。
右手は指輪を隠しながらウォンドのウォンドの中央をゆるく握っておきます。
次に、左手の握りこぶしを上に向けたまま、右手の下へ持ってきて、ウォンドを挟んで、両手を開いて、お互いに手の平を合わせます。
そして、ピッタリ合わせた両手の平を前後に擦ります<写真7>。
写真7
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それから、左手を先に離して、右手はパフォーマーの体の方へ引き下ろして
ウォンドの中央で指輪をスピンさせます<写真8>。
写真8
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右手は客からウォンドを受け取り、その左端を下方へ傾けて、指輪を左手の平へ落とします。
左手は指輪を示して、「今度は指輪をウォンドにはめます」と言ってバーノンの方法を行います。
つまり、ウォンドの左端を指輪に押し込みます<写真9>。
写真9
それから、左手を右方向へターンして、手の平を下に向けます。
そして左手は、指輪をウォンドの中間点まで本当に滑らせてゆきます<写真10>。
写真10
この本当のやり方と、そうでない見せ掛けのやり方は、本来は同じに見えなければいけませんが、この場合は、動作を少々、怪しく見えるように動かします。
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「指輪はウォンドにはめました。よろしいですね?」
と言って、右手の平をウォンドの右端へ戻し、その右端を右手の人差し指と中指の間にはさみます。
左手もウォンドの左端を同じようにはさみます<写真11>。
写真11
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そして、ウォンドの両端を左右交互に傾けて、指輪がはっきりと分かるように左右にスライドさせます。そのスライドの度に、指輪は最後までそれぞれの手の平に打ち当てます。
この動作を2回繰り返して、最後は右手の平に指輪が打ち当たった時に止めます。
「誰かがこちらの端を持って、また別の人が反対の端を持つと、指輪は取り外せません。そうですよね?」と話、その時に次のバーノンの方法を行います。
つまり、右手の平を下に向けて、表面上は指輪をウォンドの中間点までスライドさせます。
しかし実際は、右手の平を下に向けた時に、指輪はウォンドの端で回転して、ウォンドから離れます。
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右手は指輪をウォンドの表面を擦る音をさせながら、中間点までスライドさせます。ただ、この動作は、前記の「誰かが…取り外せません。そうですよね?」という台詞の中の、最後の“そうですよね?”の時に、客を見ながら行います。
右手はウォンドの中央で指輪を隠しながらそのウォンドを握っています。
客にウォンドの両端を握ってもらうために右手を前方へ出しながら、客に気付かれないように右手の親指で、指輪を曲げた右手の中指の指先へはめてしまいます<写真12・13>。
写真12
写真13
その間に、何気なく左手を上着のポケットに入れて、もう一個の指輪をフィンガーパームにしてポケットから出します。
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「よく見ていてください」と言って、右手はウォンドの表面をほんの少し左右に擦りながら、指を伸ばして左右にスライドさせます。
すると、中指の指先に指輪がはまっているのが客に見えます。
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次に、左手の親指と人差し指と中指で、右手の中指から指輪を取り外して、客にはっきり見えるようにそのリングの部分を、右手の親指の指先と中指の内側の間に置きます。この時、左手にフィンガーパームしている指輪が客にみえないように注意します。
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そして、両手でジェスチャーをしながら、「ウォンドが二つに分かれるかと思っているかもしれませんので、ちょっと引っぱって見て下さい。そして、軽くテーブルへ落として見て下さい」と言います。
この台詞を言いながらパフォーマーは、指輪のスイッチを次のように行います。
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左手は、あたかも右手の指輪を取るかのように右手の上に近付けます。左手が右手の指輪をカバーしたら、右手の中指を指輪のリング部分に巻き付けて、中指だけで指輪を保持します。すると、右手の親指は指輪から放せます。
左手のカバーのもとで、右手の平を内側にターンします、左手は右手の指輪を取ったかのような動作をして、同時に、左手の親指を左手にパームしていた指輪に差し込んで、それを左手の指先に押し上げて示します<写真14>。
写真14
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右手はウォンドの一番右端を握って持ち上げます。
すると、ウォンドの右端は、フィンガーパームしている指輪と一直線状に並びます。
右手はそのウォンドで左手に持っている指輪を指し示して、「指輪を、このようにウォンドにはめるのは、簡単にできます」と言いながら、右手はウォンドをまっすぐに立てて、その一番上に左手の指輪を位置させます。
同時に、左手の指は、ウォンドの一番上を下へ押し動作をしなす。この動作の時に、右手とパームしている指輪を、ウォンドの中間まで通してしまいます<写真15>。
写真15
パームしてる指輪にウォンドが通ったら、左手をウォンドから離して、右手だけで直立にしたウォンドを保持します。
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次に、右手の力をゆるめて、ウォンドを右手を通過させて、その一番下をテーブルにぶつけます。
すぐに、右手をウォンドの中間までスライドさせて、そこをしっかりと握ります。
「しかし、この方法ではあたり前です。では、ウォンドの両端を持って下さい」
と言って、客にウォンドの両端を握ってもらいます。
パフォーマーは、右手と隠している指輪を一緒にウォンドの右側へスライドして、左手は持っている指輪でウォンドの中央を叩いて、「ちょうどこの辺が柔らかい部分ですね」と言います。
そして、右手は隠した指輪と共にウォンドの中央へ戻して、左手は持っている指輪を客の見ている側から、ウォンドを握っているパフォーマーの右手のサムパームの位置に入れます。
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次に、左手を右手の下へ持ってきて、両手の平を合わせてウォンドと指輪をはさみます。
もう1個の指輪は、右手にこっそりとサムパームされています。
両手の平を擦り合わせてから、先ず左手を放して、すぐに右手を強くウォンドの表面を滑り下ろして、ウォンドにはまっている指輪をスピンさせます。
客に指輪をウォンドから外すように言います。
右手でウォンドを取り、左手の平に指輪を返してもらいます。
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「もう一度、指輪をウォンドにはめてみましょう」
と言って、左手をウォンドの左端へ持ってゆき、指輪を実際にウォンドへはめます。しかしながら指輪はウォンドへはまっていない、即ち、パフォーマーが見せかけの動作をしたかもしれないという印象を与えるようにします。
そして、曲げた左手をウォンドの中央へスライドして、そこを持ち、右手を放します。しかし、右手はもう1個の指輪をパームしている事を忘れないで下さい。
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客に、ウォンドの両端を持ってもらいます。
「両端を持っているウォンドから指輪を私のポケットへ飛ばしてみます」
と言って、右手を左手の下へ持ってゆき、あたかも指輪をウォンドから取ったかのような動作をします。
しかし、右手はパームしている指輪は見せないで、すぐに握りこぶしを作って、その右手をテーブルへ置きます。
「よく見ていて下さい。指輪は、消えてしまいます」と言って、右手をテーブルから上げて、指をスナップします。
しかし、右手は指輪をパームしているので、スナップを上手く出来ない場合があります。
左手は、指をウォンドの上で伸ばしますが、まだ、そこに置いておきます。
さらに、ウォンドにはまった指輪も隠しておきます。
左手は、中指と薬指で隠している指輪を一緒に引きずりながら、ウォンドに沿って左右に、ゆっくり、そして静かにスライドさせます。
この動作は、故意に相手の気持ちを弱めるバニッシュ(weak vanish)です。
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左手をウォンドの中央へ戻して、何気なく指を曲げてウォンドを握ります。
「勿論、指輪は私のポケットの中にあります」
と言いながら、右手を上着の右ポケットへ入れて、パームしていた指輪をポケットの中へ放して、あたかも何かを持っているかのような形で右手をポケットから出します。
客は疑いの念を持ちます。
「この指輪をウォンドに戻してみましょう」
と言って、右手は指を開きながらウォンドの方へトスします。
すぐに左手をウォンドから離しながら、指輪をスピンします。全てを客に調べてもらいます。
『ARCADE DRIAMS』:
"Ring On Stick" P116~P121.
このルーティーンは、長いように見えますが、演じてみると意外にも短く感じます。
また、相手に疑いの念を起こさせる心理的なテクニックを何回か使っていますが、それはパフォーマーの技量にかかっています。
マーローはこのトリックをウォンドの他、ペン、ナイフ、マドラー、ペンシルなどでも演じています。
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Photo: study by CodyR