現象
客から借りた指輪がマジシャンの手から様々な場所に移動します。
ウォンド、鉛筆、キーチェーン、ロープ、サイフ、キーケース、ネストボックスの中あるいは、
二枚のパンの間、マジシャンの片方の手から現れます。
準備
鉛筆又はウォンド。
ハンカチ、客から借りた指輪、各1個。
マジシャンは上着の下に半袖のシャツを着ます。
上着の左内ポケットにウォンドを入れて、右内ポケットにハンカチを入れておきます。
ルーティーン
- 客から指輪を借ります。
その指輪の縁を<写真1>のように、手の平を上に向けた右手の親指と中指の間に持ちます。
左手を右手の指輪の前に持ってきます<写真2>。
左手の指を握って、指輪を取り去るような動作をしますが、指輪は<写真1>の形のまま右手に残します。
写真1
写真2
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次に、右手は指輪を保持したまま、内側へターンして、同時に左手はまるで指輪を持っているかのようにその指先を上へ向けます<写真3>。
左手の親指は他の指に付けてはいけません。また、右手の親指と中指は指輪を<写真1>の形で保持しています。
両手は腰の高さです。右手はリラックスさを見せるために薬指と小指を軽く曲げます。
写真3
写真4
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次に、右手はウォンドを取り出すために上着の左襟の折り返し(ラペル)の下(内側)へ入れます。
右手は上着の内側へ入れたら、
そのまま内ポケットを通過して、すぐに、
指輪を左袖の中へ落とします<写真4>。
すると、指輪は上着の袖口を滑り台のように左手の袖口まで滑ってゆきます。
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右手はポケットからウォンドを取り出します。
「少しの間、このウォンドを持っていて下さい」と言って、右手はウォンドを親指と他の指で持ち、手の平を客の方へ向けながら、ウォンドを客へ渡します。これは右手が空だという事を客に示しています。
また、左手はまだ指輪を保持しているように見えています。
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客がウォンドを持ったら、マジシャンは<写真5>のように、左手から右手へ指輪を移す動作をします。
右手は握り拳を作り、軽く上下に振ります。これは手の中に指輪が入っていると客に思わせる心理的な動作です。
左手は何気なく手の平を上に向けて、空である事を示します<写真6>。
写真5
写真6
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「ここでハンカチを使います」と言って、左手は上着の右内ポケットからハンカチを取り出します。
左手だけでハンカチを広げて、右手の拳を覆います。この動作は客にやらせても良いでしょう。
客から左手にウォンドを受け取ります。この時も、客には空の左手が見えます。
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そしてマジシャンは左手のウォンドで、ハンカチでカバーした右手拳を軽く叩いて「このように、このウォンドで右手を軽く叩いて下さい」と言って、ウォンドを客に渡します。
客が右手拳を叩く間に、左手を何気なく体の横に下げます。すると、指輪が袖から左手の曲げた指の中に落ちてきます。
客にハンカチを取ってもらいます。
注:このトリックは、プルギミックを使わない時や、また、それが手に入らない時に役立つ方法です。
場所によっては、大切な指輪を貸してくれる客がいない場合もありますので、前もって指輪やリングを用意しておいた方が良いでしょう。