平川一彦

クロースアップロード
第3回

ディバイニング ハンク

    現象

    パフォーマーは客が覚えたカードが入っているデックをテーブルに散らかして、 さらに客から借りたハンカチを左手に持ち、テーブルの散らかったカードに近付けます。
    すると、あるカードの上でそのハンカチがピクピクと奇妙な動きをします。 そのカードを右手に取り、左手にゆっくりと近付けるとハンカチは再び反応します。
    客に覚えたカードを尋ねて、右手のカードをターンすると、何とそれが客の覚えたカードです。

    準備

    客から借りたデックとハンカチ。
    客が持っていない場合もあるので、一応二つとも揃えておきます。 ハンカチはしっかりしたもの(柔らかすぎるものは不向きです)。

    ルーティーン

  1. パフォーマーはデックを客に渡して「よくシャッフルして私に返して下さい」と言って、 客がシャッフルしたデックをフェイスダウンで左手に返してもらいます。
    両手にスプレッドして客に「1枚のカードを抜いて覚えて下さい」と言って、両手を客の方へ出します。
    さてここから、客のカードを返してもらったら、それをデックのトップへコントロールするのですが、 それは皆さんの好きな方法で行って下さい。

  2. 私は次のように行っています。客が覚えている間にスプレッドを閉じて左手に揃えます。
    次にデックをヒンズーシャッフルの形に持って、客に「カードを左手に少しずつ取って行きますので 好きなところで覚えたカードを左手のカードの上に置いて下さい」と言います。 そしてパフォーマーは左手に右手のデックをヒンズーシャッフルしていき、 客のカードを左手パケットのトップにおいてもらいます。

  3. 客のカードが置かれたら、続けてシャッフルする時に、右手の薬指で客のカードの上にブレイクを作り、 その下の数枚を右手カードの下に取り、そのままシャッフルして行き、客のカードをトップへコントロールします。
    次に、一回両手でリフルシャッフルをして揃えます。 もちろんトップは客のカードです。 ここからこのトリックのメインステージです。 パフォーマーはフェイスダウンデックを右手でテーブルへサーッとリボンスプレッドして 格好良さを見せてから<写真1>

    写真1

    直ぐに両手でスプレッドをバラバラに散らかしますが、 右手はトップカード(客のカード)を押さえながら<写真2、3>動かして、その場所を覚えておきます。

    写真2
    写真3
  4. 客はパフォーマーがこれから何をやるのか興味津々です。 次にパフォーマーは客に「どなたかハンカチを貸して頂けませんか」と言ってハンカチを借ります。 (ハンカチはアイロンのかかったしっかりしたものの方がやり易いです。) それを両手で広げて見せて客を見ながら「とても素敵なハンカチですね」と言います。 そして右手はハンカチの中央が左手の平にくるように被せます。 右手はハンカチの中央をつまんで持ち上げ、左手で数回扱き最後に左手で<写真4>のように ハンカチの上から約12,3cmの下をしっかりと握ります。

    写真4
  5. すると左手から上に突き出しているハンカチはピンと直立します。しかも左手をターンしてハンカチを水平にしても垂れ下がりません。 さらに左手の親指を少し下方へ下げるとハンカチの上部が<写真5>のように ペコッと親指側へ傾きます。

    写真5
  6. 親指を上方に戻すとハンカチの上部は元に直立します。 しかし以上のハンカチを傾けたり元に戻したりする動作はまだ行いません。 さてパフォーマーは「これは予知能力を持っているハンカチです。 これからあなたのカードをこのハンカチに探してもらいましょう」と言います。 そして左手の親指側を下方に向けてハンカチを水平にして<写真6>のように テーブルのカードに近付けます。

    写真6
    写真7
  7. そして客のカードを捜すかのように左手をカード全体にゆっくりと動かします。 パフォーマーは左手の動きに集中します。 そして客のカードの上にきたら左手の親指を動かして、<写真8>のように ハンカチの先をピクッと下げます。 恐らくここで笑いが起こるでしょう。「オッ?」と言って一度ハンカチを 客のカードから遠ざけますが、その時に左手の親指はハンカチを元の水平に戻します。

  8. この動作は重要です。 客を見て「今、何か反応がありましたね」と言ってから、再度ハンカチを客のカードの上へ近付けます。 客のカードの上でハンカチを再度ピクッとやって「どうもこのカードが怪しいですね」と言って、 右手でそのカードを取り、まだ表を見せないでフェイスダウンのまま右手の平に置いておきます。 左手は左横へ動かしながらハンカチを元の水平に戻しておきます。 「もう一度チェックしてみましょう」と言って、右手を左手のハンカチの下約30cmの位置に持ってきます。
    そして左手は動かさないで右手を<写真8>のようにゆっくりと上方へ、 つまりハンカチの方へ上げていきます。 右手がハンカチに近付いたら左手は<写真9>のようにピクッとやり、一度右手を下げます。 左手はハンカチを水平に戻します。

    写真8
    写真9

    写真10
  9. 再度右手をスローで左手のハンカチに近付けて、
    今度は2回ピクピクとハンカチを動かします。 「ウン、どうもこのカードのようですね、覚えたカードは何でした?」と尋ねてから 右手のカードをターンして客のカードを示します<写真10>
    「ハンカチをどうも有難うございました」と言って、ハンカチを畳んで客に返します。

    Edward Marlo.Deck Deception: "Divining Hanky" P.18~19


 このトリックはその場に居る人全員に必ず笑いが起こる楽しいマジックです。
解説した演技は私がいつも行っている方法の一つですが受けること間違いなしです。 原案は約1ページの解説というより要約した説明文であり、マジックを相当に知っていないと 演技が上手く出来ないようです。
使っているハンカチのテクニックはご存知の通り初歩中の初歩ですが、 これに限らずどんなに初歩のマジックでも、それをどう使うかに係っていると思います。
皆さんも自分なりの演出を考えてみて下さい。


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