第9回
アウトジョグ
では次に、第8回のオーバーハンドシャッフルを使った時のアウトジョグを解説してみます。 では、皆さん、デックを持って私と一緒にやってみましょう。
先ず、アウトジョグですが、解説を以下の<写真1>の位置(第7回のオーバーハンドシャッフル、<写真6>と同じ状態です。)から始めます。
何度も言っているように、左手の人さし指と左手の小指の位置に注意して下さい。
デックを<写真1>のように持った右手の親指、中指、薬指そして人さし指の指先でデックの約下半分(パフォーマーから見てデックの
この時に、左手(特に親指)の力を少し抜くと下半分のパケットがきれいに抜けます。 もし、左手に力を入れていると、右手がパケットを引き上げた時に、その右手パケットに左手のカードが一緒に付着してきて、きれいに二組に分かれません。
また、右手の親指、中指、薬指のほとんど爪先に、ほんの少し力を入れて、デックの厚さの下半分(右半分)を握って上へ引き抜くと、二組に分かれ易いです。
右手は、<写真3>のように、パケットを完全に上に引き抜くと、左手に残ったデックの上半分(左半分)のパケットが自然と右側へ傾いて、そのフェイスが左手の中指、薬指、小指の指先に接触します。
この傾きが
また、トリックによっては、右手にデックを持ち、左手へ半分位までシャッフルしていき、<写真3>の位置にする場合もあります。
次に右手は、パケットを握ったまま左手のパケットのトップへ下しますが、その時、じゃまにならないように左手親指をパケットのトップから放します。
また、右手パケットを左手パケットのトップへ下す時に、右手の位置を左手よりほんの少し前方へ動かして、右手パケットのボトムサイドを左手の平に付けます。
そして、左手親指を右手パケットのトップへ付けます。
その時の両パケットの形は、
また、右手パケットのボトムサイドは左手パケットのボトムサイドの縁に接触していて、右手パケットのボトムサイドのアウターコーナーは左手人さし指の第二関節付近に付いています。
そして、左手パケットのトップサイドのアウターコーナーは、右手薬指の第一関節にタッチします。(これも手の大きさによって変ります。)
また、左手パケットのトップサイドのインナーコーナー付近は、右手親指の第一関節付近にタッチしています。
右手は再びそのパケットを上へ引き抜きます<写真5、5A>。
すると、左手親指で押さえていた右手パケットのトップカードだけが剥ぎ取られて左手パケットのトップへ残ります<写真6>。
しかも、そのカードは、左手パケットのアウターエンドから約1cm位、前方へ突き出ています。
そして、そのジョグカードのボトムアウターコーナーは、左手人さし指の第一関節と第二関節の間にタッチしています<写真7>。
また、そのジョグカードのフェイスが左手人さし指の指先の外側に半分だけ接触しています。つまり、人さし指の外側で、そのジョグカードを押さえているのです<写真7A>。
次に右手は、パケットを握ったまま、左手パケットはのトップに下しますが、今度は、右手を元の位置に戻して再び、右手パケットのトップカードを左手パケットのトップに取るシャッフルアクションを行います。
右手パケットの全てを左手パケットのトップへシャッフルし終わると、<写真8>のように1枚のカードが前方へ約1cm位、突き出ています。
この状態が“アウトジョグ”と言って、そのカードを“アウトジョグカード”と言います。
アウトジョグカードをはっきり分かるように、<写真8>は少しオーバーに写しています。実際のアウトジョグカードは、約1cm位が突き出ています。
ここで注意しなければならない事があります。
<写真8>のように、ジョグカードが出ていると、いくら1cm位といっても相手に分かってしまいます。
実際のシャッフルの時は、このアウトジョグカードの上に右手パケットをシャッフルしていく際に、少し不揃いにシャッフルした方が、相手に分かりづらいと思います。
この不揃いは、後で右手でデックの両エンドを揃える動作が入るので論理的です。
デックのアウターエンドに沿っている左手人さし指は、第7回のオーバーハンドシャッフルでも少し触れましたが、シャッフルしている最中にそのアウターエンドからカードが飛び出さないようにする事と、他に、そのジョグカードの上にシャッフルしている時に、そのジョグカードがデックの中に入っていかないように、その左手人さし指がストッパーの役目もしています。
もし、人さし指がデックのアウターエンドに沿っていないとシャッフルしている最中にアウトジョグカードはデックの中に混ざってしまう恐れがあります。
また、シャッフルの最中にデックの中のカードが前に出てしまい、シャッフルが終わった時に、どれがアウトジョグカードか分からなくなってしまいます。
以上がアウトジョグの解説ですが、カードトリックにおいて、このテクニックは、ほとんど使いません。
マーローの作品でも、このテクニックを使ったトリックはあまり見られません。