第8回
ジョグ
第7回ではオーバーハンド・シャッフルを解説しましたが、次に“ジョグ”と“ブレイク”を解説しなければなりません。
さあ、ここで私が今まで何度も言ってきたアウターエンドに沿って立っている左手人さし指と、インナーエンドから少し突き出ている左手小指が重要な役割を果たします。
それは何かと言うと、その人さし指と小指は“ジョグ”を維持したり、作ったりする時に、また、“ブレイク”を作る時に、さらに、シャッフルが終わって何枚かのカードをワン・パケットとして右手から左手へ渡す“スロウ”というテクニックを使う時などに、この指の位置が特に重要なのです。
カードマジックにおける“ジョグ”(Jog)の意味を英和辞典で引いても載っていない時があります。現に、私の持っている英和辞典でそれを引いてみると“(重いものを押したり引いたりして)そっと押す”“揺する”“軽くぶつかること”とあり、どうもマジックのその意味には遠い感じがします。
それでも、“そっと押す”が、少し近い感じがしないでもないですが・・・・・。
英和大辞典を引いてみたら、さすがそこには載っていました。
“(線、または面の)でこぼこ”、“不ぞろい”、これです。カードマジックにおけるこの本来の意味は、相手のカードを見つけるための“目印”なのです。
写真を見て下さい。ジョグとは、カードがデックのどの部分からでも突き出ている状態を言います。
パフォーマー(演技者)から見て、客側に突き出ている状態を“アウトジョグ”と言い<写真1>、反対に、パフォーマー側に突き出ている状態を“インジョグ”と言います<写真2>。
そして、デックの左右のサイドから突き出ている状態を“サイドジョグ”<写真3>(これには、右サイドジョグと左サイドジョグがあります。)と言い、それぞれ突き出ているカードを“ジョグカード”と言います。
そのカードをデックからどの位突き出すかは、そのトリックやテクニックによって違います。
例えば、前回に解説したオーバーハンドシャッフルの時のジョグは、約1cm位で、他に、デックを両手の間に広げ(これを“スプレッド”と言います。)ながら、途中で、自分の思うカードをその広げたカード(スプレッド)の前方(外側)へ出す(アウトジョグ)、または、内側(パフォーマー側)へ出す(インジョグ)時は、そのカードの長さの約半分位です。