ベーシック・ムーブ
第17回
カット
デックまたは、パケットを二組に、または、それ以上に分ける事をカットと言います。そして、分けたそれぞれの組は、パケットと言います。
カットにも多くの種類がありますが、この段階では、基本的なカットを解説しています。
テーブルに置いてあるデックをカットする場合
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テーブルにデックをフェイスダウンで置きます。 ベーシック・ムーブ第12回、フォールスシャッフルの15でも少し解説してありますが、右手をデックに右斜め上から近付けて、右手親指の指先のボール部をデックのインナーエンドの中央付近に付けます。
そして、右手の中指のボール部をアウターエンドの中央付近に付けてデックを握ります。 中央付近と言っても、デックを斜め上から握っているので実際は、親指と中指のボール部は、中央より少し右寄りに付いています。
右手の薬指と小指は中指に沿って並んでいるだけです。 右手の人さし指は軽く曲げて、そのつめの先端をデックのバックに軽く付けておきます<写真1>。
この握り方を、“エンドグリップ”または、“オープンエンドグリップ”と言います。 この方法は、デックをカットする時だけでなく、デックを単に持ち上げたりするときにもこの握り方を使います。
前にも注意しましたが、デックを握る時は、手首を下げて真横から握ってはいけません。 もし、この握り方だと、右手の甲は右横を向きますが、手首を普通にしてデックを握ると、右手の甲は、右斜め上を向きます。
また、デックを真上から握ってもいけません。デックは右斜め上から握ります。
写真1
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次に右手はエンドグリップで、デックの上半分のパケットを持ち上げて、右横に置きます<写真2>。 この段階までを、“カット”または、“カットする”と言います。
写真2
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続けて右手は、右横にある下半分のパケットを同じエンドグリップで持ち上げて、先においたパケットのトップに置きます。 これを、“コンプリートカット”(完全なカット)、または、“コンプリートカットする”と言います。
この後にいろいろな動作を続けます。 例えば、右手でデックをエンドグリップで持ち上げて、左手の指先に置き、両サイドと両エンドをそろえます。そして、デックを左手のディーリングポジションに下ろします。
左手に持っているデックをコンプリートカットする場合
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体の正面で、デックを左手にディーリングポジションで持ちます。
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右手でデックをエンドグリップします。
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右手はデックの上半分をカットしてテーブルへ置きますが、人によっては、そのまま置かないで、テーブルの上、約2,3cmの所から、その上半分のパケットを落す人もいます。 これは見ていて、粋というか、洒落た動作です。
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続けて、右手は、左手に残っている下半分のパケットをエンドグリップで持ち、それをテーブの初めに置いた上半分のパケットのトップへ置いて、すぐに、右手は再びデックをエンドグリップで持ち上げます。
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そして、そのデックを左手の指先に置いて、両サイドと両エンドを揃えて、ディーリングポジションに下ろします。
以上が、カット、コンプリートカットです。マジシャンは、エンターテイナーですから、カードマジックを演じる時は、動作をのろのろとやったり、無表情だったりしてはいけません。
見ている人に“カッコイイ!”と思わせるように、ある程度、スピーディーに、そしてスマートに動いて下さい。
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Photo: study by CodyR