これまで、いろいろな基本テクニックを解説してきましたが、これから解説していくテクニックもカードマジックを演じる上で、非常に重要な、そして、基本的な動作ですので諦めずに覚えて下さい。
このシャフルは、前回のオーバーハンドシャフルと同様に、普通の人には、見慣れないシャフルでしょうが、これもカードマジックでは非常に多く使います。
ここで言っておかなくてはいけない事があります。それは、右手でデックを<写真1・2>のように持ちますが、握り方に注意して下さい。
写真1
写真2
というのは、私は多くの人のこのシャフルを見てきましたが、ほとんどの人、特にマジックをやり始めのビギナーの人のデックの握り方が正確ではありませんでした。
何を隠そう、そう言う私もその中の一人だったのです。見様見真似で、このシャフルを覚えた頃、故高木重朗先生に見て頂いた時に、先生は私に「ヒンズーシャフルの時の右手は、このように握った方がいいですよ」と、自ら手本を示しながら優しい眼差しで注意してくれました。
また、私の師匠も「平川君、ヒンズーシャフルの右手はこうやってデックを握るんだろう」とこれまた厳しく、親切丁寧に教えてくれて、“私は何て幸せ者なんだろう!”とお二人に感謝の念を抱いたのを今でも覚えています。
方法
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デックを左手にディーリングポジションで握り、体の正面の腰の高さで、体から約15cm位、離して持ちます。
そうすると、デックは、少し前下がりで、しかもその右サイドが多少右に傾いた状態になります。 これが自然体ですので、デックを体の正面で持った時は、いつもこの形になるように心掛けて下さい。
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右手をデックのインナーエンド側に右斜め上から近づけます。 そして、右手の親指のボール部をデックの右サイドのインナーレフトコーナー近くに付けて、右手の中指・薬指のボール部を右サイドのインナーライトコーナー近くに付けてデックを握ります。 右手の小指は薬指に沿っているだけで、フリーです。 右手の人さし指は、その指先をトップに軽く付けておきます。
この時に、右手首の角度に注意して下さい。 手首部分を下げてはいけません。 もし、そうすると、デックを真後ろから握る事になり、シャフルがスムーズにできないばかりでなく、見た目も良くありませんし、しかも、力が入りすぎて手首が痛くなります。
しかし、ほとんどの人がこの握り方をしています。 要するに、右手はデックのインナーエンド側のサイドを斜め上から握ります。
その時に、右手の親指、中指、薬指の指先をデックの両サイドの下側の縁(へり)から斜め下にちょっとだけ突き出しておきます<写真3>。 これを忘れないで下さい。
写真3
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今の状態は、左手にディーリングポジションで持ったデックを右手でその両サイドのインナーコーナー近くを握っています。
次に右手は、デックを握ったまま、それを左手の指先に持ち上げます。 それと同時に左手はカップ状(漏斗状)になり、左手の親指はデックの左サイドのアウターレフトコーナー近くに、左手の中指と薬指は、右サイドのアウターライトコーナー近くに、そして、左手の人さし指は、アウターエンドの中央よりやや右寄りに付いてデックを握っています。
その時、デックのアウターエンドの下側の縁(へり)は、左手の人さし指の第一関節に、そして、両サイドの下側の縁は、それぞれ、左手の親指、中指、薬指の第一関節にタッチしています。
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次に右手はそのまま動かさないで、左手の親指と中指のほとんど指先にちょっと力を加えて、デックのトップから12,3枚のカードをパケットとして前方へ引き抜きます。
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完全に引き抜いたら、左手の指の力を抜いて、そのパケットを左手の平に落します。 その時に、左手の人さし指がストッパーとなり、カードが掌から前方へ滑り落ちるのを防いでいます。
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再び左手は、右手のデックのトップからパケットを前方へ引き抜いて、指の力を抜いてそのパケットを、左掌の最初のパケットの上に落します。 そしてその動作を、右手のカードがなくなるまで繰り返します。 その回数は、別に決まりはありませんが、5回から10回位が良いでしょう。 私は6、7回です。
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シャフルが終ったら、両手でデックのエンドとサイドを揃えて、左手のディーリングポジションに持ちます。
以上をヒンズーシャフルと言いますが、右手の握りと、右手はほとんど動かさずに左手を動かすという事に注意して下さい。
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Photo: study by CodyR