このラビリンスに寄稿して8年になりました。
多くの技法は学生時代に考えて以来、ほとんど変えずに来ましたが、2018年のFISM釜山大会を目指す中で、過去にラビリンスに記載した事も含めていくつか変えた部分があります。すでに変更した事を記載せずに放置するのも適切ではないとも思いますので、変更理由も含めて紹介したいと思います。
まず今回はカードの加工の話です。私は大学の1年の秋からずっとミリオンカードにはファンニングパウダーを使ってきました(ファンカードとジャンボカードはロウでした)。
当時先輩から教えて頂いたロウはカードが汚れるだけでなく、カードのベタベタした感じがダメでした。
実は私の学生時代の最大の悩みは手の汗で、湿気たカードはすぐにダメになりました。有効な手立てはなく、出番の前日からできるだけ水を飲まないという対策しかありませんでした。
従って、さらっとしたファンニングパウダーの存在を知った時は迷わずパウダーに変更しました。
しかし、60才近くにもなると、逆に手の乾燥が問題になってきました。
かさかさの手ではカードのプロダクションに支障が出るようになり、以前に本番前の手のケアで紹介した「ノンスリップ」でなんとか対応していました。しかし、年齢と共に特に冬場の乾燥時にはパウダー加工ではプロダクションが厳しくなってきました。
たまたま、ある会社でのクリスマス・パーティでのマジックを頼まれた時に、ロウを塗っているファンカードでのミリオンカードを試してみたら、それが意外に良かったのが変えるきっかけでした。
ロウと言えば、以前はファンカードで市販のロウソクを使っていました。
基本的にロウソクは丸いので、どうしても塗りむらが出るので、それが汚れの原因にもなると思われました。
最近はミリオンカード用の四角いロウがマジックショップなどで売られており、塗りむらが無くて良いかも知れないと思って試してみました。
使った方はご存じのように、ロウの欠点は気温の影響が大きい事です。冬場は体温で少し温める必要がありますし、夏場はべたつく感じになります。ロウの主成分はパラフィンで、混ぜ物などで融点は変えられるはずなので、夏用、冬用などがあればと個人的には思います。スキーのワックスなどは、競技の種類や雪質、外気温などで多くの種類が販売されていますので羨ましいです。
ちなみにパラフィンは市販されていますので、冬用に溶解温度の低いロウを自作する事も可能とは思います。蛇足ですが、温度と成分の関係が知りたくて、ネットで“低温ロウソク”と検索すると、カードの加工よりももっと怪しげな用途のロウソクが紹介されていました。
温度に対応できる配合する素材が判っても、パラフィン加工の場合は塗り直しが面倒なので比較実験は簡単ではないです。従って、今後自分用に夏用、冬用のワックスを開発するまでのエネルギーは無く、誰かが研究してくれないかと他力本願です。