坂本圭史

岡本太郎のトランプ

 2008年11月、JR渋谷駅(東京)と京王井の頭線渋谷駅をつなぐ連絡通路に、横30メートル、縦5.5メートルの巨大壁画が展示された。 岡本太郎が原爆炸裂の瞬間を描いた壁画の大作「明日の神話」である。 キノコ雲や死の灰を描きながらも、殺りくに対抗する人間の力強さを伝えるものである・・・と言う。

2008年11月18日 讀売新聞 (朝刊)
2008年11月18日 讀売新聞 (朝刊)

 新聞報道によると、1968年、メキシコの某ホテルからの依頼で岡本太郎が製作したものである。 しかしながら、そのホテルは経営上、行き詰まり、開業出来ず、作品は行方不明になってしまったとの事であった。

 その作品が、このたび発見され、日本に里帰りして、渋谷に展示される事になった。 そこは、1日30万人が通るという通路である。

 そういえば、私のカードコレクションの中に似たものがあったと、取り出して見た。

 「岡本太郎オリジナル美術トランプ」で、1977年、池田満寿夫が芥川賞を受賞した時、その記念に両氏のトランプを、講談社が製作したものである。

 講談社に問い合わせた処、「トランプに描かれている岡本太郎の絵は、今回、渋谷に展示されたものとは別に、講談社が直接、岡本氏に依頼して書いてもらったものである・・・」との話を聞いた。

 そして、このトランプは、当時12800円で発売され、あまり売れず、その後は同社としても「トランプの企画・製作は取り止めた・・・」との事であった。

以下は、「渋谷に展示された同氏の巨大壁画」と、同氏が講談社の依頼で書いたと言うトランプの「バックデザイン」「フェースデザイン」の写真である。
フェースデザインが全く異なったデザインである事は明白であるが、バックデザイン、特に中央左側のパックが、渋谷の壁画と同じ様な印象を受けるのは、素人眼によるものであるからだろうか?

渋谷駅の巨大壁画「明日の神話」
渋谷駅の巨大壁画「明日の神話」


岡本太郎オリジナル美術トランプ
	(バック デザイン2種)
岡本太郎オリジナル美術トランプ
(バック デザイン2種)


岡本太郎オリジナル美術トランプ
	(フェース デザイン)
	A~KとJokerがデザインされている
岡本太郎オリジナル美術トランプ
(フェース デザイン)
A~KとJokerがデザインされている

 なお、これに似た彼の巨大壁画「天に舞う」が、渋谷のNHKスタジオ パークの入口近くに展示されている。
さらに、そこから少し足を運ぶと、表参道駅から徒歩距離の処に、「岡本太郎記念館」があり、芸術家岡本太郎とその偉業に想いを馳せる事が出来る。

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