世界で最も大量にプレイイング カード(俗称トランプ)が作られているのは、アメリカでもベルギーでもない、中国である・・・と言う話を聞いた。
人口が多いこともあるが、中国は他に類を見ない歴史と文化を持った国であり、西遊記、三国志、水滸伝など歴史上、様々な史実や物語に溢れている。それらに関わる景観とか、英雄の出現、美女の物語も枚挙にいとまがない。例えば、西遊記、三国志、紅楼夢、中国歴代名人、孫子兵法、歴代皇后、桂林旅遊、蘇州旅遊・・・・などなどのタイトルがついたカードがある<写真1>。
そのせいか、他国のカードとの違う大きな特徴は、ダイヤ、クラブ等のマークと数字の他に、カードのすべてのフェース部分に、人物・風景などテーマに添った様々な絵が必ずと言って良い程、描かれている事である<写真2>。
一般に中国と言うと、「麻雀が・・・」と思い勝ちであるが、麻雀で遊ぶのは中国でも一部の人達で、むしろ近隣の人と屋外で縁台のような処に集まって、カードを楽しんでいる事が多いと聞いている。
日本でも最近は100円ショップで、かなり上質なカードを買う事が出来るようになったが、中国ではかなり以前から3~5元(日本円で50円前後)で買う事が出来た。つまり、それだけ中国ではカードが人々の間に深く浸透している遊びであると言う事が出来る。
中国を旅した時、私は、いつものようにカードを買い求めて歩いた。勿論、中国では、安く買えると言っても、そこには、やはり高級品から普及品、つまりピンからキリまである。そこで見付けた素晴らしいカードを1つ紹介する。
サイズ(大きさ)は通常のカードの約2倍(約:85mm×130mm)。カードの縁は金箔。豪華な布地が張られた箱に収められている<写真3>。
フェースには、唐時代の「有名な詩」と「その詩のイメージの絵」が、多くの書家、画家によって(署名・押印付きで)描かれている。
そして、何よりも大きな特徴は、その「詩」の句が、各々のカードの数字、例えば3ならば三、7ならば七、10ならば十(ただしJは百、Qは千、Kは万)で始まっている事。従って52枚のカードのフェースは一枚一枚全て異なった絵と書が描かれており、フェースを眺めていると美しい唐詩書画展を鑑賞しているような気がする<写真4>。
さすがやることは凄い。それは中国ならではのカードで、他の国では、とても真似の出来ない内容(表現力)を示している。