平川一彦

パンドワー
第26回
ビジュアル チェンジ‐アピアランス‐バニッシュ(4)

現象

これは完全に愛好家とマジシャン向けのサッカースロウチェンジです。

準備

・デック      1組

デックから3のスポットカード4枚を取り出して、トップからダ、ク、ハ、ス、の順でフェイスダウンデックのトップにセットします<写真1>

写真1

 パフォーマーはトリックを始める前にフェイスダウンデックを何気なくフォールスシャフルをして、次に、コンプリートカットで左手の小指にブレイクを作ります。そして、ここからトリックを始めるムードに持ってゆきます。


手順

  1. デックを両手の間に広げていき、中央の4枚を特に大きく広げてダ、ク、ハ、ス、の中から1枚をクラシックフォースの形で客に引かせて覚えてもらいます。パフォーマーは客がどのカードを引いたかが分かります。客のカードをデックの中に返してもらい、デックを客に渡してシャフルしてもらいます。
  2. 左手にデックを返してもらい、フェイスを自分の方に向けて両手の間に広げてゆき(もちろん客にはフェイスは見えていません)、客のカードを見つけて<写真2>のようにトップに持ってきてデックをフェイスダウンで左手に揃えます。客のカードはハートの3とします。
  3. 写真2

  4. 右手はデックのトップカードをスロウチェンジの形で取ります。つまり、右手の中指と薬指または人さし指と中指の指先をデックのトップカードのバックに付けて、パフォーマーの方へ約2cm位引き、トップカードをインジョグします<写真3>
  5. 写真3

  6. 次に右手の親指をそのインジョグカードのインナーエンドからフェイスの中央まで十分に伸ばして、中央のピップをカバーして他の4本指をバックに付けてそのカードを握り、デックから取り上げます<写真4>
  7. 写真4

  8. 客を見て「覚えたカードですか?」と言ってから、右手の平を上向きにターンして、<写真5>のように、一見、ハートの2(?)らしきカードをパッと見せて直ぐに右手の平を下向きにターンして、カードをスロウチェンジの形でテーブルにトスします
  9. 写真5

  10. 次は非常に重要なポイントです。つまり、スロウチェンジをした右手の平を下向きにしたまま動かさず丸見えにしておき、決してデックに近付けてはいけません<写真6>。この状態で客に「覚えたカードは何ですか?カードを表向きにして見てください。」と言います。
  11. 写真6

  12. ここでパフォーマーは右手の平を上向きにターンします<写真7>。これは客にパフォーマーの右手が空であることを暗に示します。そしてその右手にカードを返してもらいます。
  13. 写真7

  14. 客がマジシャンか愛好家なら、パフォーマーがデックのトップからカードをダブルで取り、スロウチェンジをして右手にカードを1枚パームしていると思っているはずです。カードを返してもらう時に右手が空である事が分かるので〝やられた!〟となる訳です。
  15. 『M.I.N.T. vol.Ⅰ』by Edward Marlo、P.355


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