私は、マーローの、この種のトリックを覚えた時は、それに使っているテクニックがあまりにも大胆なので、これを人前で上手く出来るかどうか不安で、人に見せる時は、初めドキドキしたものです。
そしてまた、「よく、こんなテクニックを考え出せるものだ」と、改めてマーローのすごさに感心すると共に、ますますマーローマジックが好きになりました。
そのような訳で、次からの同じトリックも私は非常に気に入っています。
これは、第26回で解説した方法2の、パケットのトップカードを天海パーム、または、マーローパームする時に、もっとパームし易いテクニックを使っています。
確かに、方法2の、12,3枚のテーブルパケットのトップカードをパームするのは、フルデックやハーフデックの時と違って、やりづらいです。
そこでマーローは、それをカーディシャンが喜びそうなテクニックで見事に解決しています。
第26回の方法2と全く同じです。
これも第26回の方法2の1~6まで全く同じです。
即ち、客が4つにカットしたパケットの1と3のトップに2枚ずつAがあります。
ここで、右手でテーブルのパケット1を取り上げて左手に置きます<写真1>。
そして、右手でトップカードを、パケット1が置いてあった場所のすぐ前方(客側)にフェイスダウンで軽くトスします<写真2>。
次から、カーディシャンが思わず唸るような、喜ぶテクニックを使っています。
右手は、その4本指を左手に持っているパケットのアウターエンドに付けて、右手の親指をインナーエンドに付けて、両エンドを上から握って持ち上げます。
すぐに、左手の4本指の指先をアウターエンド側からフェイスに曲げて付け、パケットの上方(手の平)へ押さえ付けて握ります。
同時に、左手の親指をパケットの左サイドに移動して付けます。こうすると、そのパケットは、すぐに、パームポジションに入れます<写真3>。
そして、右手がパケットをテーブルへ置く時には、すでにトップカードをパームしています。
今の時点で、右手親指のボール部は、パケットのトップカード(A)の左サイドの縁に付いていて、その親指でトップカードを上に持ち上げて、天海パームポジション、または、マーローパームポジションにします。
私は、マーローパーム(アングルパーム)ポジションを使っています。その理由は、マーローパームの方が、トップカードをパームし易いし、手もより自然な形に見えます。
天海パームでは、カードのインナーが、手の平の手首近くからはみだして客に見えてしまう不安があります。
さて、右手はトップカード(A)をアングルパームして、その下のパケットだけを元の場所へ落します<写真4>。
そして、右手はAをアングルパームしたまま、パケット2の上にやり、そのトップへパームしていたAを落しながら、そのパケット2を取り上げて左手に置きます<写真5>。
右手は、トップカードを取り上げて<写真6>、テーブルへフェイスダウンで置き<写真7>、次に右手は、そのパケット2を今、テーブルへおいたフェイスダウンカードの手前(パフォーマー側)に落します。
同じ動作を、3番目と4番目のパケットで繰り返します<写真8>。 そして、各パケットの前に置いてあるカードをターンして4Aを示します<写真9>。
マーローズマガジン Vol.5, p.246.