クロースアップロード
第1回
ザ・ファーストミラクル
今回から続けて紹介するマーローの作品は、ほとんど素人向けのトリックですが、
中にはエキスパート向けのも含まれています。
次の作品は1940年に出版された、Pastboard Prestoの中の
"The First Miracle"と題した比較的易しく出来るトリックです。
このトリックの長所は客から借りたデックでも出来る事と、
パフォーマーは客の覚えたカードを聞くまではそのカードが何であるか
分からないという事です。
現象
パフォーマーはシャッフルしたデックをテーブルへ
リボンスプレッドして、客にそのスプレッドの中から1枚のカードを
約半分まで引き出し、そのフェイスをピークで覚えてもらい、
元の場所に戻してスプレッドを閉じてデックにするように言います。
パフォーマーは後ろ向きになり、客は言われた通り1枚のカードを
覚えて、元に戻してデックにします。
パフォーマーは向き直って、デックを持ち、シャッフルとカットをして
右手に持ちます。そして、客に覚えたカードを聞き、デックをテーブルへ
リボンスプレッドします。何と!客のカードがスプレッドの中に
フェイスアップで現れます。
準備
デックにこっそりとブリッジを付けます。または客の前でデックを
手から手へスプリングで飛ばしてブリッジを付けます<写真1>。
写真1
ルーティーン
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パフォーマーはデックを持ち、ブリッジを戻さないように
軽くオーバーハンドシャッフルをしてテーブルへ
リボンスプレッドします。
次にパフォーマーは客に、パフォーマーが後ろを向いている間に
1枚のカードを約半分まで引き出して、その表をこのように見て覚える
ようにと実際に動作を行いながら説明します<写真2、3>。
写真2
写真3
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続けて客に、その覚えたカードを元に戻して、スプレッドを集めて1組の
デックにするように言いますがパフォーマーはこの動作をしません。
次にパフォーマーは「私が見たカードは退けておきます」と言って、
スプレッドから引き出してピークしたカードをテーブル端へ置き
後ろ向きになります。そしてそのままサイド順番を説明します。
客がカードを覚えてスプレッドに戻してデックにしたらパフォーマーは向き直り、
デックを取り上げて左手において揃えます。
デックを保持している両手の力を抜いてサイドを見ると、
ブリッジしたデックの中に1枚だけ真っすぐなカード(客のカード)が
わかります。
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次に客カードの上のパケットをボトムへ回すと、客カードがトップになります。
そしてリフルシャッフルして、デック全体のブリッジを除きます。
客カードはまだトップにあります。
続けてオーバーハンドシャッフルでトップカードをボトムへ回します。
次に右手でデックの右半分を上から握り、右手の人差指でデックの
上半分を右手の親指を軸として左手の方へカットします。
すると上パケットの左サイドが斜めに突き出ます<写真4>。
写真4
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ここで体を少し左に向けて、その突き出た左上コーナー付近を
左手の親指と人差指の又に挟みます。
右手の親指と中指と薬指は下パケットを左手の指に沿って右方向へ
スライドして行きます。
下パケットのボトムカード(客カード)の
フェイスの左サイドが左手の指先に
来た時に、左手の中指、薬指そして小指の指先を
ボトムカードのフェイスにつけます<写真5>。
写真5
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続けて右手は下パケットを右方向に動かして行くと、
客カードが左手の指先に残ります<写真6>。
写真6
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客カードのフェイスの左側に左手の中指、薬指、小指の
指先が付いています。
上下のパケットが分かれると同時に、左手の中指、薬指、
小指の3本を内側に曲げていき、同時に右手は
上パケットを少し上方へ上げると、客カードが左手の
パケットのトップへフェイスアップにターンします
<写真7、8、9>。
写真7
写真8
写真9
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続けて右手のパケットを左手のパケットの上におきます。
このカードをフェイスアップにする動作は右手と
右手のパケットでカバーしています。
右手はデックを上から握り、客に覚えたカードを聞きます。
客が答えたらデックをテーブルへリボンスプレッドします。
客カードが中央でフェイスアップになっています<写真10>。
写真10
Early Marlo by Edwaord Marlo: "The First Miracle" P.11~12
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Photo: study by CodyR