第19回
リボンスプレッド
前回は、デックを両手の間にスプレッドしましたが、今度は、それをテーブルの上にサーッとリボン状にスプレッドします。 これは、カードマジックの分野では、“フラリッシュ”と呼ばれていて、見ていて、とてもカッコイイ、派手なアクションです。
“フラリッシュ”とは、その名の通り、“見せびらかす”、“派手さ”、“見せびらかし”という意味で、動作がスピーディーで、スマートで、そして見ている人を魅了してしまいます。特に、素人の人には、インパクトが強いようです。
私の生徒の1人が、次のように言った事があります。
「私は、先生がカードトリックをする前に、デックをリフルしたり、テーブルの上にスプレッドしたりしているのを見るたびに、何てスマートなアクションなんだろう!私もあのようにやってみたい。と思いました」と。
やっている私は、カードトリックをする前の準備運動みたいなもので、ただ何となく、自分のカードトリックへの気持を高める動作であって、何も、見ている人に見せびらかしている訳ではなかったのです。
しかし、彼の言った事を考えると、見ている人は、そう思うのだと改めてフラリッシュの意味が理解できました。
そういえば、我々の仲間を見回すと、カードトリックをやる前には、全員が、このフラリッシュ、例えば、リフルとスプリング、リフルとチャーリーパス(私も、これです)などをやっています。
“何気なく見せびらかす”何て気分の良いアクションなんだろう!
それからは、私の意識の中に、“カードトリックの前はフラリッシュ!”という一種のスローガンみたいなものが出来上がり、今ではもう!
前置きはこのぐらいにして。
このスプレッドは、右手の力加減に左右されるので、強くても、弱くても上手く広がりません。 何回も練習して、その“コツ”を覚えて下さい。 これは、前回の両手の間のスプレッドに比べて、より長くスプレッドが出来るので、見ている人に、より大きいインパクトを与えます。 このリボンスプレッドは、右手で左から右へ弧を描いてスプレッドしていますが、トリックによっては、一直線にスプレッドする場合もありますし、また、左手で右から左へ一直線にスプレッドする場合もあります。 テーブルの上にスプレッドする場合に、テーブルクロスが掛かっていれば上手く広がりますが、クロスが掛かっていないテーブルの表面では、デックが滑ってしまい、上手く広がりません。 その場合は、右手に力を普通より強く入れて、デックをテーブルへ押し付けながらスプレッドすると、案外きれいに広がりますが、それも100%という訳でもなく、広がっても、きれいな弧にならない場合がありますので、必ず、マットを用意しておきましょう。