セントルイスの話題からは少し離れて、今回はアメリカのコインのお話です。アメリカに行って意外に困るのが、アメリカのお土産ではないかと思います。アメリカでお土産に買ったものがメード・イン・チャイナであったという話は笑い話にもなりませんが、マジシャンにとってメリットがあり、間違いなくメード・イン・USAの製品と言えば、やはりアメリカのコインでしょう。
私が初めてアメリカに行った1979年には、まだラスベガスで1ドル銀貨が使われており、アイゼンハワー・ダラーやケネディ・ハーフを額面で両替することができました。コインマジックにはそれで十分と思っていたのですが、セントルイスに赴任すると、やはり定番である64年のシルバー・ハーフやモルガン・ダラーも欲しくなり、結局コインショップなどで購入しました。古いコインの良いところは、使った後でお土産にしても、決して中古品として文句を言われない事ですね(笑)。
ところで、アメリカの銀貨でマジシャンが使っているのを見た事がないコインにアメリカン・シルバー・イーグルがあります。額面1$の純銀貨で毎年鋳造されていますが、通貨としては流通しておらず、コインショップで買う事ができます。
写真の右の上下がシルバー・イーグルで、モルガン・ダラー(中上)よりも一回り大きく厚みもあります。ちょっと重すぎるのが1$銀貨の代わりには使いにくいですが、裏はウォーキング・リバティ(中下)と同じデザインで、色も綺麗な銀色で見栄えも抜群で、マイザーズ・ミラクルなどに使うと良いのではないかと思います。
ちなみに、写真の左上下は現在の1$コイン(アンソニー・ダラー)で、一度だけおつりで貰った事がありますが、小さくて25セントと間違えないように要注意です。当時、造幣局から未使用100枚を特製袋入りでほぼ原価で買ったのですが、マジックでの使い道も無く、お土産にしても喜ばれないので、結局帰国前に大部分は紙幣に変えました・・・。
余談ですが、ロンドンに行った時には、全英博物館の近くのアンティークショップでイングリッシュ・ペニーを買いましたが、その時にちょっとしたハプニングがありました。数枚のコインを色目で選んでいるとお店のご主人が理由を聞いてきたので、マジシャンだと言ってロール・ダウンからコインを指先に乗せるフラリッシュを見せました。ご主人が驚いた次の瞬間、なんと当時6才の娘が、「私もできるよ!」と言って指先にペニーを4枚乗せて私の手の真横に出して来ました(もちろんロール・ダウンせずに乗せただけですが・・)。それを見たご主人がものすごく驚き喜んで、娘にそのイングリッシュ・ペニーをプレゼントしてくれました。ご主人が「お父さんにじゃないよ。あんたにあげるのだよ」と娘に念を押していましたが、今は私のコレクションです(笑)。