古川令

本番前の手のケア

 前回はファンニングパウダーについて書きましたが、そもそもファンニングパウダーを使うようになった大きな理由は、カードの扱いやすさでした。特にミリオンカードを始めたビギナーの頃は手に汗をかきやすく、大学のサークルで教えてもらったワックスを塗る方法は、カードがベタベタして特に一枚出しで苦労しました。ファンニングパウダーを知った時には、その扱いやすさが気に入ってすぐに変更しました。

 若い方で手の汗が気になる方も多いと思います。良く対策を聞かれますが、手の汗は心理的な原因もあり難しい問題です。制汗スプレーが良いという話も聞いたので何種類か試しましたが、残念ながら気に入った製品はありませんでした。結局、私が実践したのは、前日からの水分制限と本番前の石鹸での手洗いでした。
 しかし、年とともに手の汗の問題は無くなり、今では逆に手の渇きの方が問題になってきました。温度と湿度の影響と思いますが、夏場はまだ良いのですが冬場は演じにくくなりました。

 対策としてはハンドクリームなど、いろいろ試してみましたが、今使っているのはノンスリップという事務用品です。付け過ぎた場合のカードへの影響が心配なので、できるだけ使わないようにはしていますが、出演の際に携帯する備品箱には常に準備はしています。安くて何年も使えます。


 蛇足ですが、私が出演の際に持っていく備品の中に、ノンスリップ以外で変わったものに筋肉痛用のゲルがあります。きっかけは、以前に本番前に不安になって練習し過ぎて筋肉が疲れた事があったからです。普段は軽い鞄しか持たないので、マジック道具を持って移動した後で軽い腕の疲れを感じる事もありますし、捻挫などの急なトラブルにも対応できます。布のシップではなく、ゲルタイプはどこでも塗れるので便利です。


 本番前に腕の疲れを感じたケースでも、演技中や演技後には筋肉の疲れを感じる事は無いので、おそらく実際に疲労しているというより、本番前には普段以上に体のコンディションが気になるという事かと思います。私は普段から肩こり体質なので、本番前にゲルを肩に塗る事もあります。このような気休め効果も大事で、ノンスリップよりも使っているような気がします。

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