最近、諸処方々のマジッククラブに顔を出したり、マジシャンと話をしていて、必ず話題になるのが「カード マジック」である。
いまマジック界で、カードマジックが何故これほど人気があるのか、そして大きなウエイトを占めているのだろうか?それは、手軽に出来ると言う時代の流れに加えて、変化の大きさ、奥行きの深さにあるのではないか、と私は思う。
私どもTAMCで企画部長として、マジックをご指導いただいて来た高木重朗氏(平成3年没)は、カードマジックを特に得意とし「カード1つあれば8000種類のマジックが出来る」とか「私は食事する時、入浴する時、寝る時以外は、カードを手放す事はない」と話していた事を思い出す。
同氏の著作「トランプの不思議」は昭和31年3月初版発行で、マジックを始めて間もなかった私がカードマジックに入り込むキッカケとなった本であった。
もともとテーブルマジックとして、テーブルは挟んで数人を相手に見せていたカードマジックも、いまやプロジェクターを活用して50人以上の人を相手に演じて見せるケースも少なくない。それどころかFISM北京大会の時は、なんと2000人近くの観客を相手に、ステージでカードマジックを演じ、ステージ両サイドのスクリーンに演じている状況を映していたのには驚いた。
私どもアマチュアマジシャンはイリュージョン マジックはあまり行わない。
そこで私は{TAMC家族会マジック発表会}(サロンまたはテーブルを中心に50人ほどの観客を対象に、小さな4会場に分かれて開催する)で
「家庭で出来るイリュージョン」
と言うタイトルを付け、何回かのシリーズで、ミニチュアの「イリュ―ジョン マジック」を演じ、好評をいただいた。
演技は、その冒頭で「何故 アマチュアはイリュージョンマジックをしないのか」と言う解説を行ない、そのあと「人体浮遊術」や「ジグザク人間」などを、人体も含めて模型を作って演じて来た。
解説の時「アマチュアが演じない理由」に次の4項目を掲げた。
① 道具を作るお金がない
② 会場に運んで、セットする事は大変
③ 道具をしまっておく場所がない
④ 共演してくれる美女がいない。
これを聞いた奇術研究家の松山光伸氏(英国 ザ・マジック・サークル 日本地区代表)はつぶやいていた。
「この4項目がなくでも出来るのが、“カードマジック”ですね!」と。
まさにその通り、ここにカードマジックの人気と、流行がある事に改めて気がついた。