坂本圭史

カードが作った人間の絆

 もう10年も昔の事となってしまった。 蓮井彰さんと言う奇術研究家をご記憶だろうか?
 蓮井さんは日本テレビ在職中の昭和53年、同社の開局25周年記念イベントを企画し、 世界の超一流マジシャンを一堂に集めたスペシャル番組を制作した事で特に名前が知られるようになりました。 その後、静岡に移られてからは、日本の若手マジシャンの登竜門とするため、 清水市で日本初のマジックホールの企画運営を果たされるなど、 日本のマジック界の発展に大きく貢献された。

 蓮井さんの持つ人間関係は素晴らしく、多くのアマチュアマジシャン、 プロマジシャン更にはメール友達に到るまで紹介いただき、 マジック仲間の輪を拡げて下さった。
 また、蓮井さんはマジック関係のグッズ、書籍を数多く蒐集され、中でもVTRコレクションは有名で、それは量的、質的に見て日本一ではなかったかと思う。特に、私がカードコレクションをしている事を知って、集め方や保管の方法をご教示下さったり、貴重な品の数々をご恵与いただいた。

 しかしながら残念な事に、蓮井さんは若くして病におかされ、 平成15年5月、66歳で帰らぬ人となってしまった。 亡くなる僅か3ヶ月前の平成15年2月、このマジックラビリンスでお馴染み奇術研究家 松山光伸氏がお見舞いに行かれ、その時、松山氏は米国で入手した“The Playing Card Museum”と言う 超大型のポスター4枚を持って来てくれたと伺っている。

 蓮井さんはそれを見て「私の友人でカードを集めている人がいるけど、その人に差し上げて良いかな?」と その場で松山さんの了解をとって私に送ってくださった。 それは有名な「USプレイングカード社」が作成したもので、 19世紀中頃からの様々なカードが実物大のサイズでカラー印刷されているもので各々ガイド書まで付いているものであった。

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 蓮井さんが結びつけて下さった松山さんとは、 蓮井さんのお通夜の時、初めてお目に掛かった。 事の次第と経緯、そして御礼を申し上げ、 その後10年間、こうしてマジックラビリンスで知恵を出し合うなど、 親しくお付き合いさせていただいている。
蓮井さんのご好意は、終生忘れる事は出来ない。その時、ポスターをお送りいただいたパッケージも含めて今、私は大切に保管している。

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