先日、マジック仲間から世界のマジシャンの似顔絵のカードをいただいた。
フェースには(ジョーカーを含め53枚×2=)106人の、歴史的に見て偉大なマジシャンの似顔絵が描かれている。
フーディニー、ハリーケラー、マックス マリーニ、チャニング ポロック、ダイバーノンなどに交って日本人のマジシャンは何人いるだろうか?探した処、石田天海師(写真1)、唯1人しかいなかった。残念な事である。
似顔絵と言えば、ナポレオンにはじまり、ルーズベルト、スターリン、ケネディ、サッチャーなど世界史に残る大政治家108人〔(52枚+ジョーカー2枚)×2組〕が登場するカードがある(写真2)。その中には、日本人唯一人、昭和天皇(写真3)が登場している。
カードとは全く関係の無い事であるが、昭和天皇はマジックが大変お好きであった。
私ども、東京アマチュアマジシャンズクラブは、昭和天皇の御前で計5回、マジックを演じている。そのうち1回、私も天覧マジックの栄に浴した。
昭和49年1月28日、東宮御所で、現陛下が皇太子当時、昭和天皇ご成婚50年を奉祝し皇族が30名集った席での事である。その時の感激は今でも忘れられない。一介のサラリーマンとしては得がたい経験であった。
その時、TAMCからは14名の会員が演じている。私は「椅子と少年」と言うテーマで、その考案者である亡父(坂本種芳 TAMC名誉会長(当時))と弟と甥の4人で演技した。(写真4 その時のプログラム)
会場は50センチほどの高さのステージが設けられていたが、両陛下はステージより3メートルほどのごく近い所に座っておられた。
宮内庁のお役人から「高い処から陛下に頭を下げては(お辞儀をしては)失礼に当たる。演技が終わったらステージから降りてお辞儀をするように・・・・」との注意があった。
しかしながら緊張のあまり、無事演技を終えてホッとした為か、その場でペコリと頭を下げてしまった事を、はっきりと憶えている。
しかしながら、より鮮明に憶えている事がもう1つある。
それは、このような時「陛下はどんな演技に対しても真っ先に拍手する」と言う事を聞いていたが、「正にその通りであった」と言う事である。ひどく感動した事は言うまでもない。
私達、戦中派世代は、戦前、学校に行き校門をくぐると、先ず天皇陛下のご真影に最敬礼をしてから、教室に向かったものであるが、今の若い人に対して、話しても、全く理解してもらえないだろう。
正に“昭和は遠くなりにけり”と言える。