<解説>
ブレークというのは例えば一組のカードを揃えて持ち、その多数の重なっているカードの特定の位置に
その位置がわかるように目印をしておく技法を指します。
最も普通のブレークの方法は、一組のカードを左手に持ち、カードの右下隅の位置に左手小指を挟んでその目的を果たします。
このとき小指の指先全体をカードの分れ目に挟んでしまうのはできれば避けたい露骨な方法であり、注意深いカード奇術家は必ず、
小指の一番先の肉を少しだけカードの分れ目に挟むように配慮します。
そしてカードを他の指で上手に持つと、カードの割れ目は右下隅近くだけに限定させることすら可能になります。
もう一つの大切なブレークの保ち方は右手がカードを持つ場合です。
左手にカードを持ち、小指がブレークを保っているとき、そのカードを右手にそのまま取るときに、仮に右拇指をカードの手前にかけ、右中指もカードの向う側にかけるようにしてカードを挟み取るように静かに持ちあげると、左手の保っていたブレークがそのまま右手の拇指の腹で保たれるようになるでしょう。
そして、このカードを左手に戻すならば、左手小指のブレークを再び保持することが可能です。
ここで他の便利なブレークについて少し触れておきましょう。
まず、左手に一組を持ったときに右下隅の位置で小指の肉を挟んでブレークにしたのと同様に、
カードの左下隅の位置に分れ目を作り、そこに左拇指のベースにある筋肉の部分を少し挟み込むことができるでしょうか。
それが拇指ベースのブレークと呼ばれる第二のブレーク法です。
さらにもう一つ、ブレークはカードに分れ目を作り、そこに指の一部を挟んで目印にする方法ですが、
同じ目的で特定のカードを1cmくらい手前にずらしておくという方法があります。
試しに一組のカードをテーブルの上で二つの山に分けて、その一方を右手で取って左手に置いてみます。
次にもう一方の山を右手で取りあげて、左手の山の上置いてみます。
このとき置く瞬間に右手の拇指で左手の山の一番上のカードだけを手前に1cm程度引くことができるでしょう。
そうすると二つの山を揃えると見せて、その手前に突き出したカードをそのままそっとしておくことができるでしょう。
これを専門用語ではインジョグと呼びます。
インジョグはブレークに代わる有用な技法です。
その場合、カードには分れ目が必要ないことがお分かりでしょう。