第13回
シャッフルロケーション
それでは、もう一つ、フォールスシャッフルを使った例を挙げてみましょう。
これは、“アート・オブ・マジック”や“グレイター・マジック”の著者である、有名なJ.N.ヒリアードが、そのグレイター・マジックの第1巻目で、ジョグをロケーション(位置探索)の項目で、シャッフル・ロケーションとして次のように述べています。
「現代的なカードマジックは、簡単で単純になる傾向があります。 しかし、相手のカードを見つけるロケーションの方法で、これほど、よりシンプルで、より自然な方法は他にありません。」
そして彼はその方法を次のように説明しています。
1枚のカードを選んでもらいます。
マジシャンはデックを通常のオーバーハンドシャッフルの形で持ち、ゆっくりと左手にカードをシャッフルしていきます。
デックの約半分位をシャッフルした時に、マジシャンは動きを止めて、左手のパケットを客の方へ伸ばして、その上に覚えたカードを置くように言います<写真1>。
<写真1>は、分かり易いように客のカードをフェイスアップにしてありますが、実際はフェイスダウンです。
再びマジシャンは、シャッフルを始めます。
マジシャンは、相手のカードの上に、右手のパケットから1枚のカードを左手親指で剥ぎ取り、もう1枚、さらにもう1枚と、剥ぎ取っていきます。
マジシャンはこれをゆっくりと行います。
もはや、客は自分のカードがデックの中に混ざってしまったと、確信せざるを得ません。
マジシャンは、もう1枚(4枚目)のカードをシャッフルするのですが、その時に右手を少し、左手のパケットの上で、内側へ位置を変えます<写真2>。
そうして、左手の親指で、その4枚目のカードを剥ぎ取ると、そのカードは、左手のパケットのインナーエンドの所にある左手の小指の上へ約1cm位突き出ます(インジョグです。)。
次にマジシャンは、左手のパケットの上にカードの残りをシャッフルする速度を速めます。 それからマジシャンはインジョグカード以下のカード全てを右手でアンダーカットして握ります。 そしてそれをワン・パケットとして左手のパケットのトップへ軽く放り投げるように乗せます<写真3>。
すると相手のカードは、トップから4枚目にあります<写真4>。 そして、そこからは、マジシャンが考えているどんな方法にでも進めることが出来ます。
もちろん、返してもらった相手のカードの上に最初のカードをインジョグして、前に説明したように、インジョグの所でカットすると相手のカードはデックのトップにあります。
以上がグレイターマジックの中の説明ですが、ここでは、相手のカードをトップから4枚目に持ってくるテクニック、すなわち“コントロール”としてジョグを説明しています。
しかし、ここまで読んでお分かりのように、テクニックは詳しく解説されていません。
でも、皆さんはもうお分かりですね。