第1回
はじめに 1
基本・基礎は大切です。皆さんはすでに基本テクニックを身に付けているものと思いますが、私が基本テクニックを覚えたのは、日本語の手品本でした。
ところが私の師匠から教えて頂いた基本テクニックは、私が本から覚えたものとは違っていたのです。
後に、原書で学び始めたら、そこには基本テクニックが教えて頂いたとおり、詳しく解説されていたのです。
以来、私はその落差の違和感から原書で基本テクニックを勉強し始めました。
当時は、日本語の詳しい解説書というものが私には見つかりませんでした。
その後、多くの人の詳細な本が出現しましたが、手に入れても満足しなかったのを覚えています。
最近、やっと、私にとって納得のいく基本・基礎が解説された本が現われました。
外国人のマジシャンが書いたものを日本語に訳したものです。内容は評価に値する素晴らしいものでした。
現在では本に加え、映像による解説が普及して、マジックも手軽に学べるようになりました。 ある日、日本人による基本テクニックの解説映像を見て驚いた事があります。
マジック仲間と見ていたのですが、私は、思わず驚きの声を上げてしまいました。
その解説は、カードテクニックの中でも、重要な位置を占めている基本中の基本、“シャッフル”だったのですが、解説者のデックの持ち方が間違っていて、しかも、シャッフルを説明する言葉も当然に違っていました。
恐らく、その解説者も先生と呼ばれている人から教わったのでしょう。
という事は、その先生や周辺の人も正しい基本テクニックを知らなかったのではないでしょうか。
解説のデックの持ち方では、次へのムーブメントの可能性が閉ざされるようなものでした。
それを映像として一般に販売していると思うと、非常に悲しくなりました。
やはり、カードを持つ以上は正しい基本から始めたいものです。