お蔭様で海外でのコンベンションに参加する機会が増えましたが、同じ出演でも、ゲストとコンテスタントでは雲泥の差があります。ゲストだと、空港送迎からホテルや食事のケア、楽屋の配慮などもありますが、コンテスタントではそのようなケアも期待できず、楽屋が無くて通路でのセットなどのケースもあります。
演技への影響を最も感じるのがリハの時間や照明への配慮です。照明に関しては、国内ではあまり問題ないのですが、特に海外のコンテストは暗い印象です。
写真は2016年の韓国江原でのAMA(Asian Magic Association)のコンテストです。なんとこれがAMAのコンテスト設定の「全照のパターン」で、ホリゾントや大黒幕へのバックライトが使えないだけでなく、後はスポットを追加するかどうかのチョイスだけでした。
舞台上からのブルーのライトをホワイトに変えるだけでもステージはずいぶん明るくなるのですが、そのお願いは、「コンテスタントで差がでる」と却下されました。私の場合、ステージの光が正面からのライトに負けるような照明では、空中のカードが見えずに大きなハンディになるので、アウェイの洗礼のようなものでした。
同じく2014年の韓国仁川でのFISM ASIAのコンテストでも、ホリもバックライトも使えず、ステージ全照のパターンでも暗く、照度を上げるために使わざるを得なかったスポットライトで空中のカードが見づらく苦労しました。韓国で照明が暗い理由は、ブラックアートを使うマジックが主流なためと思います。
その韓国でもゲストの場合には、照明は自由に作れます。かなり明るいステージに後方床から2本のフロアライトを演者(客席)側に向けて照らすジャグリングのCharlie Fryeの照明は参考になりました。
いずれにしても、好きな照明を作るにはゲストにならなければダメで、コンテストの場合は、照明以外でも想定外の事も多く、勝ち抜くためには少々のトラブルには動じない図太さが必要でしょう。
事前に送付した進行表を担当者が持っていない事は日常茶飯事で、要請されて送付しOKをもらった音源が現場に届いてなかったケースもありました。
暗めの照明において、見る側から感じる問題点は、見ていて疲れる事です。
3時間近い発表会でも、客席が真っ暗でなかったので疲れなかった経験もあります。暗い照明に限らず、疲れるマジックは、私はあまり好きにはなれません。