中学、高校時代の私の自慢の趣味は蝶のコレクションでした。蝶などの自然の物を対象にしたコレクションの特徴は、誰にでも平等にチャンスがあるという事です。例えば絵画や骨董の場合にはそれなりの資金が必要ですが、蝶の場合には、それこそ誰にでも「世紀の珍蝶」を手にできるチャンスはあります。モンシロチョウのような普通種でも、もし斑紋に異常があれば異常型としての価値があります。従って資金よりも情熱(執念)や体力が重要で、さらに記憶力や解析力、さらに動物的な勘など、多様な能力が必要な素晴らしい趣味と考えていました。
その私が、「蝶のコレクション」という趣味に疑問を持ち始めたのが高校2年の頃です。コレクションの価値は希少性で決まりますが、それを突き詰めると、「他の人は誰も採集できずに“自分だけ”が採集できればよい」という利己的な感情は避けられず、究極のコレクターを目指すと自分の性格までが歪んでくるような気がしてきました(笑)。
例えば、グループでの蝶の採集と登山とを比べると、有限なものを取りあう採集(仲間同士でも勝敗や嫉妬)やよりも、景色(無限で所有権もない)を心から共感できる登山の方が趣味として優れているのでは?と感じてきた次第です。
趣味にランク付けはおかしいかも知れませんが、有限なものよりも無限のものを対象にする趣味の方が優れていると考え、それではもっと良い趣味は何かと考えてみると、それは自分が楽しむだけでなく、他の人にも喜んで貰える趣味ではないかという結論に至った次第です。
人を楽しませると言えば、音楽や落語などがありますが、残念ながらそれらの才能が無い事は判っていました。場所や相手を選ばず、人に楽しんでもらえる趣味にマジックがあり、小さい頃から興味だけはありました。マジックは、グループでも個人でも活動ができますし、老後のボケ防止にも良さそうです。
幸いにも入学した大学には奇術研究会なるサークルがあり、研究会という名前も気に入りました。そしてサークルのオリエンテーションで先輩方の鮮やかな手さばきを見せられて、すぐに入部の手続きをしました。
以上のような経緯で私のマジックライフが始まる事となりましたが、次回は私が特化しているミリオンカードの魅力について書いてみたいと思います。